ランチェスターNo.1理論~坂上仁志著~の感想

こんにちは!

今日はランチェスター戦略についての本で、坂上仁志さんの『ランチェスターNo.1理論~小さな会社が勝つための3つの結論』について感想を書きたいと思います。

この本は一言で言うと「ランチェスター戦略をシンプルに理解することができる本」です。

ランチェスター戦略ってなに?っていう人も、この本を読めばランチェスター戦略の概要を掴むことができ、その中でも重点に置く内容が分かると思います。

ちなみにランチェスター戦略というのは、ランチェスターという人が戦争において「戦闘力=兵の質x量」というものを発見し、田岡信夫さんという方がそのランチェスターが発見した法則をビジネス応用した戦略のことです。

 

著者について

著者の坂上仁志さんは、このランチェスター戦略を学び日本でも数少ないランチェスター戦略の公認インストラクターです。

また、今年(2022年)の夏の参院選では、さいたま立候補されています。

自分がこのランチェスター戦略に関する本を読もうと思ったのは、2022年の夏の参院選で話題になっている参政党について調べていた時に、坂上仁志さんの存在を知り著作を読んでみようと思ったからです。

ランチェスター戦略では弱者(シェアが少ない)には弱者の戦いがあり、強者(シェアが多い)の戦い方があるという理論があり、2020年に発足した参政党が既存の国政政党に対してどのように立ち向かっていくのか?はこのランチェスター戦略に基づいて行われているんだなぁという事が本書を読んで分かりました。

参政党の話については別の機会にするとして、早速、坂上仁志さんの『ランチェスターNo.1理論』についての感想を書いていこうと思います。

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序論:筆者の主張

まず本書のタイトルにある”小さな会社が勝つため3つの結論”について。

①差別化
②深堀(特化)
③継続

が、小さな会社が勝つための結論だと言えます。

ポイントは”小さな会社が勝つため”という所にあります。

まずは大きな会社はどうやって勝つのか?という話です。

ランチェスター戦略では強者には強者の、弱者には弱者の戦い方があります。

大きな会社というのはシェアが大きい会社です。

79%シェアがあれば一強で、追いつけるライバル無しの状態です。

41%シェアがあれば業界大手で安泰できるシェア状態と言えます。

26%は強者に入り業界では大手ですが、不安定な状態で強者でいるためには更にシェアを伸ばす必要があります。

ここまでの強者=大きな会社の戦い方は基本的には弱者(シェアが少ない)会社を狙い、戦力差を活かして倒すなり吸収するなりしてシェアを伸ばす戦い方が必要です。

ランチェスター戦略では強者は弱者を攻撃目標として捉えてシェアを奪う戦い方をします。

 

小さな会社が勝つための戦い方

そんな強者に対して弱者はどう戦うのか?ただやられるのを待つのか?

そうではなく、弱者が強者と戦うための方法論を説いているのがランチェスター戦略です。

そこで、登場するのが先ほど挙げた①差別化②深堀り③継続です。

弱者が強者と対決するには上記の3つで戦う以外に勝てません。

なぜなら、戦闘力=兵の質x量であるためです。

大きな会社の戦闘力が兵の質が10で量は100だとすると戦闘力は単純に1000です。

逆に小さな会社の戦闘力が兵の質が8で量が80だとすると戦闘力は単純に640です。

【大きな会社】
兵の質10x量100=戦闘力1000

【小さな会社】
兵の質8x量80=戦闘力640

戦闘力の差としては1000-640=360です。

つまり大きな会社に真正面から戦えば負けるのは必須。

そこで、考えるのが大きな会社の量を分散して兵の質10、量を50とした小さな戦闘力に対して、小さな会社が全力でぶつかったとしたらどうでしょうか?

【量が分割された大きな会社】
兵の質10x量50=戦闘力500

【小さな会社】
兵の質8x量80=戦闘力640

大きな会社の戦力の半分に対して、小さな会社が戦力を100%で戦う環境があれば小さな会社でも大きな会社を倒すことができます。

実際の戦では、大軍を細い山道に誘導して実際に戦闘する量を小さくして大軍の利を無くすという方法が用いられています。

では、この量を小さくするという事は実際のビジネスではどういうことなのでしょうか?

それが、差別化と深堀です。

本書でも例として実際の企業のランチェスター戦略を紹介しています。

例えば、旅行会社のHISは今では高い知名度がありますが、それは格安の海外旅行に特化した戦略できたことから、海外旅行はHISという認識を持たせるまでになりました。

それまでの旅行会社が国内・国外の旅行ツアーを取り扱っていたり、添乗員同行のパッケージにしたりしている中で、海外のみして添乗員も無い個人向けのツアーに特化することで安さを売りにすることが出来た結果、既存の大手旅行会社にはできない部分で風穴を開けたというわけです。

他にもアイスのハーゲンダッツは高級路線を貫くことで、低迷していたアイス市場の中で伸びていきました。

これも、手頃のアイスがたくさんある中で、価格帯を少し高めに設定したことで日ごろのご褒美的な位置を不動のものとしてシェアを伸ばし、単価を上げる事で利益率も高くできた結果、アイス市場の中で成長できたことも挙げられていました。

 

本論:主張の理由・根拠

ランチェスター戦略における①差別化②深堀り③継続を行う事が、小さな会社勝つための方法である理由は、ランチェスター戦略の法則にもある戦闘力=兵の質x量にあるように、大きな会社に小さな会社が正面から全力で立ち向かっても勝てないという事実があります。

言い換えれば、真正面からではなく局所に対して全力で戦えば勝てるとも言えます。

局所というのが差別化であり、全力というのが深堀りです。そしてそれらを継続して、局所的な部分でのシェアを先ほどの41%以上取れれば安泰です。

もちろん経営判断を誤ってしまえば、ランチェスター戦略で得た地位も失う事になってしまいます。

最近で言えば、いきなりステーキは、高級なイメージだったステーキを立ち食いスタイルにして、手頃だけど美味しいステーキ屋さんというポジションで瞬く間に全国に広がりましたが、店舗展開を急ぎ過ぎた事や牛肉の価格高騰などで、既存の会員へサービスが低下せざるを得なくなり、拡大した店舗の閉店を余儀なくされていました。

自分の地元でも、「ここにいきなりステーキかぁ」と思ってたら営業して恐らく一年経たずに日高屋に変わっていました。

逆に言えば、日高屋は1000円でちょい飲みから〆のラーメンも頼めるスタイルで飲めるラーメン屋のポジションを得て、着実に店舗を増やしている印象です。日高屋大好きです。

いきなりステーキも美味しいんですけど、当初あったお手頃感よりも高級な印象になってしまいました。

それなら、ステーキガストの方がサラダバーやカレーも食べ放題なのでお得な感じがしちゃいますよね。

 

まとめ

少し話がそれてしまいましたが、『ランチェスターNo.1理論~小さな会社が勝つための3つの結論~』について紹介してきました。

まとめると、ランチェスター戦略においては差別化を行い、強者と真正面からぶつかるのではなく局所的に攻める。

差別化した局所を更に深堀りしてナンバー1を目指す。

そして、それを継続していく。

そうすることで、小さいところで勝ち拡がっていくことで、小さい会社は勝っていけるという話です。

 

では、この本を読んでのまとめの前に感想について書きたいと思います。

最初に、ランチェスター戦略についての本は田岡信夫さんの奥様である田岡佳子さんの『決定版 ランチェスター戦略がマンガで3時間でマスターできる本』を読んでいました。

1つの項目を1ページで書かれてあり、見開きの左のページには漫画で概要をまとめた作りなのですが、坂上仁志さんの本書も同様のスタイルで作られており、とても読みやすいです。

また、ランチェスター戦略の14原則についてもしっかり学びつつ、身近なの会社の事例を紹介してランチェスター戦略とはどういうものかがイメージしやすくなっています。

また、ランチェスター戦略が自分の人生における行動にも応用できると書かれています。

例えば人付き合いにしても、八方美人よりも本当に仲良しが数人いる方が(自分にとっては)良いなぁと思うのですが、これも差別化というか少し表現が違う気がしますが、付き合う人を仲良しの友人に絞る事でより関係性を深める事ができます。

ランチェスター戦略という名前は聞いた事があったのですが、改めてランチェスター戦略について学んでみると「あの会社もやってる」と思うことや、以前学んだビジネスに関しての話にも通じる部分がありました。

機能脳科学者の苫米地英人さんもビジネスの極意は絞り込みという話をされていました。

その話の中では、東京に通勤する圏内の人口は約3000万人という統計があるそうで、その3000万人の対象の中で1000人に1人ささるビジネスをしたとして、3万人がリピーターとして考えられるターゲットになりえる、と。

1000人に1人がたまらなく好きというマニアックな事をビジネスにすることで、3万人に響けば30日で割ったら、毎日1000人にリーチできて、1000人が1000円払ってくれたら毎日100万円というビジネスができるという、実際には難しくてもそういう事も考えられるという話をしていたとのを思い出しました。

しかし、1000人に1人に向けたマニアックなものでなければ、そもそもターゲットになりうる人がいないので、せっかく商圏として3000万人という規模があったとしても意味が無くなってしまいます。

日々の生き方の中にもこの考えを応用して、漫然と日々を過ごすよりも何かに1点集中する事が大きな成果につながる事も本書で勧められています。

武井壮さんも毎日1時間新しい事を勉強していたり、毎日15分でも勉強を継続出来たら1年後、3年後には大きな成果が手に入ります。

とはいえ、これらもよく言われる事ではありますが、それが出来たら苦労しないという話でもあります(汗)

それらについては、自分も実践中の身なので別の機会に毎日続けることについて書きたいと思います。

ただ、逆に言えば成功している人はそれらを実践している人であることや、ほぼ確実になんらかの成果をだせる方法であることは間違いないでしょう。

ランチェスター戦略にはビジネスでライバル会社に勝つ事だけでなく、自分の人生を切り開くための戦略が説かれています。

何かの参考やヒントになることがあると思いますので、おすすめしたいと思います。

ちなみに、坂上仁志さんの本書は読みやすいのでランチェスター戦略を学ぶ上でも最初の一冊としても良いかもしれません。

よりビジネスや営業などの仕事に特化した内容が良い場合は田岡佳子さんの決定版 ランチェスター戦略がマンガで3時間でマスターできる本』をおすすめしたいです。

それでは!