今回は、書評Youtuberとして人気のアバタローさんの『OUTPUT読書術』を読みましたので、その感想を書きたいと思います。
今回の感想はまさに『OUTPUT読書術』に書かれていた内容を自分なりに実践した結果であるのですが、これまでよりも少しは読む人の目線に立った感想が書けたのではないかなと思います。
さて、今回の感想の全体像からお伝えしたいと思います。
(この言い回しもアバタローさんからパクッています)
①古典も名著も読みこなすアバタローさんとは?
②OUTPUTする読書が自己肯定感を上げる理由とは?
③OUTPUT読書術を実践してみて
今回の感想については、アバタローさんに関する予備知識は必要ありません。
また、古典や古今東西の名著を読んだことが無い人でも大丈夫です。
この感想の対象としているのは、アバタローさんのように古典・名著を読みこなしたいと考える方、自己肯定感を上げたいと考える方、『OUTPUT読書術』の概要が知りたいという方にもおすすめしたいです。
古典も名著も読みこなすアバタローさんとは?
さて最初に『OUTPUT読書術』は、動画をご覧になっている方なら分かると思いますが、アバタローさんの本なので、誰もが理解できるように工夫されています。
また、読者が途中で挫折しないように随所に心理的安全性を確保するような「ホッとする一言」が散りばめられています。
まさに”アバタローさんが書いた本”という事が一発で分かる内容です。
そんなアバタローさんという人物。
一体どんな人物なのでしょうか?
まだ動画をご覧になっていない方にざっと説明させて頂きますと、会社員でありながら数々の古典や名著を噛み砕き、分かりやすく、ラジオ感覚で親しみを持って観ることができる書評Youtuberです。
現在の登録者数は約20万人です。
本の中で紹介されていたプロフィールでは、早稲田大学卒業。現在は外資系企業の管理職をされているとありました。
もっとアバタローさんのパーソナルな一面をお知りになりたい方は、アバタローさんのQ&A動画がありますので、ご覧になってみては如何でしょうか?
さて、動画では数々の古典や名著を読みこなして、視聴者に分かりやすくその内容を届けるのみならず、実際に読んでみたいと思わせるアバタローさん。
「昔からきっとすごい人だったんだろうなぁ~」
と思っていたのですが、ご本人が本書の中ではそうでは無かった事を明かしています。
ざっと上げますと、
・幼少期はお兄さんと比較され自信喪失
・中学、高校では酷いいじめにあって不登校
・社会人三年目にはパワハラでうつ病
と、「アバタローさん、マジすか・・・」思ってしまう過去をお持ちでした。
冒頭でも触れましたが、アバタローさんの動画では視聴する人への工夫として、「予備知識無しでOK、手ぶらでOK、お茶でも飲みながらリラックスしてご覧ください」と本題の前に伝えてくれています。
また、本書の中においても、読者を置いてきぼりにしないで最後まで伴走してくれるような言葉がたくさん出てきます。
これらの配慮は、本のタイトルにも現れています。
私は『OUTPUT読書術』と略していましたが、実際は『自己肯定感を上げる OUTPUT読書術』というタイトルです。
ご自身の経験からだと推測しますが、OUTPUTする読書を通じて自己肯定感を上げるためにも、動画で紹介されている古典や名著を楽しく読むためにも、一番に視聴者・読者の心理的安全性に配慮されているのだと思います。
個人的には、「ホッとできる場所」とか「悩んだら帰ってきたい場所」的な感じすらします。めっちゃいい声ですしね。
そんな人に安心を届ける達人のアバタローさんが書いた『自己肯定感を上げる OUTPUT読書術』。
その感想を、本書を使ったまとめ方でお伝えしていきたいと思います。
OUTPUTする読書が自己肯定感を上げる理由とは?
最初に、本書の肝はタイトルの通り”自己肯定感を上げる”と”OUTPUT読書術”にあります。
今回の感想においては、深くは触れませんが”OUTPUT読書術”の具体的な実践方法、手順、考え方をアバタローさんが教えてくれています。
その中で、OUTPUTの骨格として「準備」、「読解」、「要約」、「発信」があります。
その中の、「要約」の中で紹介されていたOUTPUTの典型例の一つである、「序論・本論・結論」型を用いていきたいと思います。
早速いきましょう。
序論:筆者の主張
最初にアバタローさんが本書でお伝えしたいことについてです。
本書のプロローグの一行目に次の言葉があります。
「読書によって、人は自己肯定感を高め、人生を好転させることができる」
それが本書で最も伝えたいメッセージです。
さすがアバタローさん。
もう真っ先に結論から入っちゃってます。
結論はこれです。
ただ、これが結論です、以上!としてしまうのは、読者という立場としては勿体ない、読者には読者の結論の観方、伝え方があると思いました。
そこで私の結論というか感想は、以下の内容を中心に展開したいと思います。
「読書のOUTPUTによって上がる「自己肯定感」とは、ありのままの私に気が付くことである」
です。
私個人としては、自己肯定感を上げるその自己肯定感とはいったい何ぞや?とツッコミを入れたわけです。
この本の中身に対してツッコミを入れながら読むのもアバタローさん流の読書術によるものです。
では、なぜアバタローさんは自己肯定感を高めて人生を好転させることができると主張するのか?
そして、私自身がなぜ自己肯定感をありのままの私に気が付くこととしたのか、その理由・根拠についてお示し致します。
本論:主張の理由・根拠
私の主張の理由・根拠について、少し長いのですが、引用したい所が三点ほどあります。
これは、本書の中で紹介されている付箋の使い方として、「読者にとって重要な箇所を明らかにする役割」という部分をそのまま実践し、付箋を貼った三箇所です。
最初にP122にある次の内容を一つ目の根拠としたいと思います。
「Aは同意できないけど、Bは共感できる」とか「今はあなたに全く共感できないけど、同じ時代を生きていたら私もあなたと同じことを思っていたかもしれない」というように、”対話に近い読書”が展開されるわけです。
ここで一旦止めます(←使ってみたかった笑)
OUTPUT読書術の骨格である「読解」を深めていくための定番ツッコミ三点セットの一つである、”②「主張」にツッコミを入れる”の一文です。
私がたくさん線を引き付箋を貼った中で、この部分を筆者の主張の理由・根拠に選んだのは、「自分の意見・理由・根拠」を持って読書する事の重要性は、一つの自己決定感につながり、その事がまた自己肯定感につながると思ったからです。
自分自身の読書においては、「なるほど(驚き)」、「分かる(理解)」、「分からない(理解不足)」はあるのですが、「そうは思わない(否定)」って少ないと思ったんです。
実際には「そういうものかなぁ~」と腑に落ちない感を持つ事をある種の否定と捉える事も出来なくないのですが、違いは自分の意志において「違う」と言えるかどうかにあります。
私は「同意・共感できない」という意見を持つ事に少し勇気がいると言いますか、逆に自分が「同意・共感できない」と言われてしまったらと思うと否定の意志を示すのが正直怖いと思ったんです。
でも、大切なことは「否定・共感できない」したままにしないスタンスを持って意見を出し合うこと=対話だとするならば、自分の意見を伝えることはそこまで難しい事ではないと思ったんです。
少し意図からずれるのですが、対話をするという観点は相手を否定するというものとは違いますよね。
上記のアバタローさんの「Aは同意できないけど、Bは同意できる」や「同じ時代を生きていたら同じことを思ったかも」は、主張に対して否定の意見を示しながらも同意できる部分を提示しています。
このスタンスに自己肯定感を上げるポイントがあり、それは自分の意見を伝えるという事が自己決定感に通じているからだと思いました。
次に引用の二つ目です。
P226のエピローグでは、アバタローさんの恩師とのやり取りが描かれています。
その中で、アバタローさんの恩師が次のことを伝えます。
「そうだね。つまり人間というのは”無知の自覚”をすると、好奇心や探求心が生まれるんだ。そうやって人類は進歩してきたわけ」
この”無知の自覚”という点は、「ありのままの自分に気が付くこと」に通じていると思ったんです。
自分は無知であるという自覚を持つことも、これまた勇気のいるアクションだなと思うのですが、無知であることを自覚する事と無知である自分を嫌いだと感じることは別物であることが、アバタローさんと恩師のやり取りで見えてきます。
本が嫌いだったアバタローさんに対して恩師は「本を読んだことが無いのに嫌いにはなれないのでは?」と言います。
それに対してアバタローさんも「読書が嫌いなのではなく理解できない自分が嫌い」という事に気が付きます。
そして、恩師は自分をダメだと言うアバタローさんに対して、「私は全くそうは思わない。君が君自身を知らないだけだ」言います。
更に”知らない”という事は、悪いことでも、怖いことでも、恥ずかしいと思う事でもなく、知らないということ自覚することだと言います。
”知らないということ”をただ恐怖や悪いことであると思ってしまったら、世の中の全てが恐怖になってしまいます。
自分が知らなかったこと、初めての体験の中で、恐怖や悪いことのラベルが無ければ、自分の関心が向くものであれば「これは何だろう?」と好奇心が沸いてくる。
この事自体が「ありのままの自分に気が付くヒント」であり、無知であることを受け入れることもやはり「ありのままの自分」を受け入れること=自己肯定に繋がります。
正直、このエピローグのアバタローさんと恩師の対話だけでも本書を読む価値があるとすら思えました。
主張の理由・根拠の最後の一つです。
これは、P163にある次の一節です。
「読書によって、人は自己肯定感を高め、人生を好転させることができる」
これが本書で最も伝えたいメッセージです。それを実現するために一番重要なアクションが、読んだ本を「OUTPUT」することであり、その方法論を詳細かつ具体的に示すことが本書の役割となります。
先に挙げた二つの理由・根拠が、理由・根拠の概念の一部であるとするならばこの「OUTPUT」は、理由・根拠の具体的なアクションになります。
具体的なアクションが無ければ、実感に至ることは難しいと思います。
この二つが両輪となって機能を果たしていく事が、自己肯定感を上げるアクションそのものであるわけです。
ちなみに、この概念としての自己肯定感を感じるにはOUTPUTという具体的なアクションが必要である理由のヒントになる一節がありました。
人間という生き物が、物事を相対的に認識するという特徴をもっているから
これは読書によって自分がやりたいことなど、”自分の内側”の価値観に気が付くための説明の中にありました。
つまり、相対的に認識する特徴を持つ人間であるということは、OUTPUTという具体的なアクションをすることで、相対的に自己と向き合うことできるというわけです。
まとめ
さて、ここで最初の自分が思うアバタローさんが『自己肯定感を上げる OUTPUT読書術』のプロローグにおいて、本書の結論を述べていました。
「読書によって、人は自己肯定感を高め、人生を好転させることができる」
それが本書で最も伝えたいメッセージです。
その中で、自己肯定感を上げるという事について、私の意見としては「読書のOUTPUTによって上がる「自己肯定感」とは、ありのままの私に気が付くことである」という点に注目しました。
そして、その具体的な実践(OUTPUT)として、本を読む準備をして、本の主張と対話をして読解をし、OUTPUTのための要約を行うことで主張の理由・根拠として自分が響いたものを知り、そして対象を設定して発信する。
この一連の作業を通じて得られる体験の一つ一つに、自己決定感を感じたり、自分が「ここが好き」という部分を発見したり、自分が置かれている現在の環境を知ることができるという事は、つまり自分を知るヒントに遭遇する事になります。
また、自分が自分の意志で決定を出来ることや、自分の意見を持てること、素直に自分の無知を自覚できることで、ありのままの自分で良いという自己肯定感を感ずるに至れると思いました。
OUTPUT読書術を実践してみて
今回、アバタローさんの『自己肯定感を上げる OUTPUT読書術』にて紹介されていた、OUTPUT読書術を実践してみて思ったことは、単純にこうしたブログに書評など何度か書いていますが、要点を絞って淀みなくかつ効率的に書評を書けるという事が実感できました。
自分の具体的な方法としては、まずはじっくり楽しむ感じで一周目を読みます。線を引いたり、付箋を貼ったりとこれまでの読み方です。
そして2周目で線を引いた箇所を中心にサクサクと全体を振り返りながら読み、追加で線を引きました。
二周目が終わったところで、OUTPUT読書術流の付箋の貼り方を行います。具体的には、各章ごとに厳選した1枚を選ぶ作業です。
ちなみに、厳選した付箋の他に1枚だけ要約の部分で何度も確認したかったので、特定のページにアクセスするための付箋一枚を色を変えて貼っておきました。
また、読みながら並行してA4用紙一枚に筆者の主張を書き出しました。
そして、要約の段階になった時に裏面に序論・本論・結論で要約していく形で作業をすすめました。
構成の冒頭では、アバタローさんの動画の構成をパクらせて頂きまして、全体像、対象とする読者についてを述べました。
次に要約でまとめた内容をブログの構成の中心に落とし込みます。
これまで書評を書いてて一番むずかしいのは、伝えたいことがたくさんありすぎて収拾がつかない状況になることでした。
でも、先に要約をまとめることで、感想という肝になる部分は迷わずに書けました。
古典との向き合い方
また、古典についてはこれからとなりますが、難しくて手が進まない時に「なぜ手が進まないのか?」という理由が、背景知識不足か、表現の難しさにあるのか、はたまた2つともかなど、原因を発見しやすくなると思います。
そして、その原因を解決していくために関連する本を読んだり背景知識を抑えるなど、「できない」→「できる」にしていける具体的な方法が書かれていました。
最初はアバタローさんの動画も参考にしつつ、関連本も多用して古典にあたってみたいと思います。
自己肯定感について
最後に、個人的に思う自己肯定感についてです。
アバタローさんが経験された不登校やうつについては、少なからず自分も似た経験を持っていることで、多分に共感できました。
これまでは自己肯定感ってなんだろうって思っていました。
読んで字のごとく自己を肯定する感覚なのだと思うのですが、いまいちしっくり来ていませんでした。
ただ、これまでに様々な本を読んだり、経験を通じて自分を好きだと感じることが幾度かありました。
そして、今回アバタローさんの『自己肯定感を上げる OUTPUT読書術』を読んでいく中で、アバタローさんがご経験された”新しい自分”に出会うということが、ありのままの自分という事である体感が何となく分かった気がしました。
また、本当に最近ではあるのですが、平野啓一郎さんの『分人主義』やAimerの『グレースノート』を聴いて、よりその事を確信できる感じがしました。
ありのままの、そのままの自分。
イヴ・サン・ローランも引退の時の記者会見で次の発言を残しています。
人生で最も大切な出会いは自分自身と出会うことなのだと
イヴ・サン・ローランはファッションの最先端で作品を作り続ける中でその事を見出したわけですが、OUTPUT読書術を行うことで、ありのままの、そのままの自分に出会える事ができるのは間違いないんじゃないかと思います。
今回の感想も少しダラダラっと長い感じがあるのですが、もっとOUTPUT読書術を繰り返して精度を上げて、シンプルで読み手の人が理解しやすいものにしていけるよう実践していこうと思います。